天秤座 佐藤君

6年生の時の同級生、佐藤君はとても変わった子だった。
頭はものすごくいいんだけど普通に優等生というわけでなくて
6年生でありながら、日経新聞とベルばらとアインシュタインを
愛読する不思議少年。手足が長くて背が高い。これだけだとなんかステキ?な感じかと勘違いしそうだけど、実はぜんぜんそうじゃない。
妙にアンバランスな体型で全体的にぎこちない。運動神経ゼロでバスケでドリブルをしていると
自分の長い手足にもつれてボールの上に乗って、ありえない転び方をする。
お笑いのセンスのあるやつなら“玉乗りに失敗しました”とかいうんだろうけど
そんなシャレも言えず、ひたすら困惑して申し訳なさそうにする時の佐藤君は
正視に堪えかねた。
泳ぐと手長ザルが溺れてるみたいになって、一度など監督の先生が本当に溺れたと思い、トレパンのままプールに飛び込んだ事件もある。

でも勉強が出来たし、気も優しかったから嫌われることはなかった。
クラスでいじめられている子がいると遠くからキリンかラクダのように、そおっと気遣いの目線を送っていた。でもなんにも言わなかった。

私は心の中でいつも思っていた。「佐藤君、アンタ頭いいんだから、なんか言いなよ!優等生の一言はツルの一声になるんだから、人が困っているのを見るの厭ならなんか救いの言葉をいってあげてよ!!」

佐藤君はこまったなぁ~という顔をしながら何にも言わなくて、でも数日後に
事件のことを学級日記に書いて冷静に分析してジャッジを下していた。
いじめる側といじめられる側、両方の視点から、書いていた。

クラスの女子は彼を珍獣扱いしていた。
私にとっても彼は“どうでもいい男子リスト“のメンバーだった。
でも彼の話はとても面白かった。
彼の知識の豊富さに圧倒されたし、
まったく異性を意識させない“何この生物?解剖学的興味”で私はよく佐藤君にちょっかいを出した。

アインシュタインと日経新聞はついていけなかったが、ベルばらとマカロニほうれん荘と宇宙船艦ヤマトではたいそう盛り上がった。ノストラダムス1999年人類滅亡の話も白熱したし 真剣にこっくりさんに取り組んだこともある。これで彼がハンサム君だったなら、私は彼にドキドキしてしまい
こっくりさんどころではなかったと思う。

でも学年がすすみ、中学に行き彼とは疎遠になった。
彼は東京の私立へ、私は地元の並の高校へと進学した。
もともとどうでもいい男子リストの一人だったから
そのうち私の記憶から消えた。

それが、
30数年ぶりに6年生の時の同級会で彼に再会した。
他のメンバーには時々会ったり、消息を聞くことはあったけど佐藤君とは卒業以来の再会。
あいかわらず、ぎこちなくて、焼肉屋ではネクタイを焼肉の網にのせてしまい
焦がしていた。

その後、佐藤君はT大に行って、天下のA新聞社の記者をやっていたが、
会社の管理体制に馴染めなくて
脱サラし、自分で出版社を立ち上げて編集長をやっている。
でも、その出版社は 政治とか経済のコアネタを扱ってばかりいるので
ぜんぜん売れなくて 返本の山に埋もれて、従業員の給料が払えないのだそうだ。
彼、曰く「もうやめようか・・・と思うけど自分にしか出来ないやり方で片寄った世の中をアジャストしたい」のだそうだ。

なんだか、悲哀が漂う中年珍獣でしたが、私は彼がカッコイイと思った。
心の中で「頑張れ!佐藤君」と思った瞬間
彼が真顔で私の顔を見て言った。
「俺さぁ、 小学生の時、密かに・・・」
「密かに君のことが好きだった」とか言われてもいまさら、困る・・・と身構えたのに
続く言葉は「密かに、君が担任の自画像の鼻の穴に差し込んだ画びょうを抜いてあげたんだよ」
だった。

佐藤君!!30数年ぶりに逢った女子にそんな昔の汚点を言ってくれなくても…

30数年ぶりに「どうでもいい男子リスト」から、「ちょっとは気にする男子リスト」に格上げしてあげようと思ったが「呪いのリスト」に落とすことにした。

(佐藤くん 太陽てんびん・月みずがめ)


てんびん座 → 穏健・穏やか・バランスを取りたがる・片寄れない・優柔不断
みずがめ座 → 自由・博愛・偏見なし・頑固・変人・信念あり



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プロフィール

杜 香里(もり かおり)

Author:杜 香里(もり かおり)
小学生の時に本格的「星占い」に出会いはまる。
星と付き合い続けてて数十年。
一時はアホらし、と思ったこともあったけど
10年位前に雷に打たれたように占い魂が芽生えてプロになりました。
高波にさらわれてイギリスまで流され英国占星術協会の会員になりこの道で開き直りました。

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プロフィール2
 イヌ派ですが3年ほど前まで齢八百歳のさばとら・タビ (立ち耳スコティッシュフォールド? いいえ多分駄猫)と タビa  起居を共にし彼女の抜け毛に悩まされていました。 フォトグラフィー